今月の業務内容
各テーマの略称は先月の振り返りに記載したものを引き続き使用する。先月報告したとおり、テーマE以降は今夏に検討を開始した新規テーマであり、今月はこれらについても初期検討を進めた。
以下、各テーマの進捗を報告する。
テーマA:確率的な数理モデルと数値計算に関する研究(海外研究者との共同研究)
9月上旬に英国で開催される研究集会での発表に向けて、スライドの内容を充実させ、発表準備を進めた。
テーマB:多数の主体からなる系のデータ解析・推定に関する研究(学生との共同研究)
共同研究を担当する修士学生の指導を継続している。今月は、当該学生に対する数値実験の指導と、修士論文執筆の指導を実施した。
先月報告した「AIの利用によって出来上がる資料の水準と、本人の理解度との間にギャップが生じる」という問題については、根気強く本人との対話を重ねることで、担当する研究課題および提案手法を必要な水準まで理解できていることを確認した。また、本人が持参する資料に含まれるAI利用由来の不自然な記述についても、その都度アドバイスを行うことで、少しずつ改善が見られている。
9月中旬の論文提出に向け、週1回のペースで打ち合わせを実施し、発表に備えている。なお、私自身の論文発表については、当該学生の修士論文の提出・発表が完了し次第、受入先の指導教員と相談する予定である。
テーマC:集団系の最適化・数値計算に関する研究(学生との共同研究)
今月は、アドバイザーとして助言を行っている博士学生による学会発表が実施された。
9月に大学の休暇期間が終了し次第、本人との打ち合わせを再開し、論文投稿に向けた活動を進める予定である。
テーマD:機械学習モデルの数理解析に関する研究(国内研究者らとの共同研究)
投稿論文の査読対応を実施した(とはいえ自分はほぼ何もしてないが)。
また、本件で協働できた縁を活かし、今回発表した内容に続く研究課題を設定できないか、メッセージベースで議論を継続している。
テーマE:最適化手法を用いた制御計算に関する研究(学生との共同研究)
本テーマは、6月に参加した応用数理分野の国際会議において初めて知った最適化手法を、制御計算へ適用することを着想したものである。
現在、数値計算と理論解析のいずれについても検討を一定の段階まで進めることができ、論文化に向けて動き始めているところである。一方で、私自身は当該手法を専門としていないことから、当研究室で博士の学位を取得し、秋より英国の大学に着任予定の研究者に、共同研究者として参画いただくこととなった。
同研究者とは既に一度打ち合わせを実施し、論文全体の方向性について有益な助言をいただいた。現在は、今後進むべき方向性について受入先の指導教員に相談しているところである。年末までの論文投稿を目標に進めていく予定である。
テーマF:制御系の安全性向上に関する研究(国内研究者との共同研究)
かねてより交流のあった国内研究機関の研究者と、専門分野が近いことからディスカッションを開始し、実機システムの制御に自身の専門とする制御手法を適用するテーマで研究を進められないかと検討している。
アイディアは既に固まっており、数値計算の結果も得られているが、数学的解析を深める余地がやや少ないと感じられるため、まずは学会投稿を目標として進めることとした。11月の投稿を目指している。
テーマG:集団系のデータからモデルを推定する研究(海外研究者との共同研究)
長らく同室であった海外大学の研究者が、所属先へ帰任された。帰任間際に「同室でありながら一緒に研究ができなかったことが悔やまれる」との話があり、試みとして研究ディスカッションを実施することとなった。
内容としては、現在修士学生を指導しているテーマBの延長線上に位置するものである。テーマBが観測データからその支配方程式の相互作用項を同定する研究であるのに対し、本研究は、観測データが何らかのコストを最小化するように生成されていると仮定し、そのコスト関数を同定するものである。推定対象が一段抽象化されるため、難易度はより高い。一方で、テーマBで熟成させてきた同定用のツールを本テーマでも活用できるため、迅速に研究を進められるものと期待している。
本テーマの出口はまだ見えていないが、私の帰任までに論文投稿につなげたいと考えている。
テーマH:大規模な数理モデルの制御可能性を評価する研究(国内研究者との共同研究)
日本在籍時よりお世話になっていた国内の研究者より、共同研究のお誘いをいただいた。同氏がこれまでに提案されてきた、系の制御しやすさに関する評価手法を、より広いクラスの数理モデルへ拡張することを目指すテーマである。
拡張先が私の専門分野と重なることから、協力の依頼をいただいた次第である。ベースとなるアイディアは既に同氏によって考案されているため、まず私が数値計算によってその妥当性を確認し、その後、対象とするモデルに固有の理論解析を進めるという順序で研究を実施している。
本テーマも出口はまだ定まっていないが、可能であれば2027年前半までに何らかの結論を得たいと考えている。
周辺のニュース
今月は、1か月を通して子どもの夏季休暇期間であった。
前半はお盆期間に年次休暇を取得し、家族で近隣国へ旅行してリフレッシュした。後半の2週間は、子どもに現地のサマーキャンプへ参加してもらった。子どもは現地の子どもたちとの交流を深めることができ、その間、家族も自宅で休息を取ることができ、私自身も業務に集中することができた。相応の費用は要したものの、有益な投資であったと考えている。